ミャンマー野菜:タクワーティー(きゅうり)
日本のきゅうりといえば、生のままかじるか浅漬けにするのが定番ですよね。でもミャンマーでは、きゅうりは「冷やす食材」として料理の中で明確な役割を持っていて、サラダ(သုပ်/トゥッ)から炒め物まで幅広く登場します。ヤンゴンの食堂でカレーの脇に出てきたきゅうりのサラダに、ごまと酢の香りで驚いたという体験談も多く聞かれます。シンプルな野菜なのに、ミャンマーではこんなに奥が深いんです。
基本情報
- 日本語名:きゅうり
- ビルマ語名:タクワーティー
- ビルマ語:သခွားသီး
- 英語名:Cucumber
- 発音のポイント:「タ・クワー・ティー」と3音節。語尾の「ティー」は「実」を意味するビルマ語の汎用語です。
- 科・分類:ウリ科キュウリ属
産地・特徴
ミャンマーのきゅうりは日本のものより全体的に太く、皮も少し厚めです。ビルマ料理では「冷やす食材(cooling food)」に分類され、豚肉・なす・大根などと同じグループに入ります(参考)。濃いカレーや脂の多い料理と組み合わせることで、食卓全体のバランスを整えてくれる存在として重宝されています。カレン族の食卓でも定番野菜のひとつとして記録されており(参考)、ミャンマー各地で広く親しまれていることがわかります。
ミャンマーでの食べ方
1. タクワーティー・トゥッ(သခွားသီးသုပ်)― きゅうりサラダ
ぜひ一度作ってみてほしい一品です。薄切りのきゅうりに、紫エシャロット・青唐辛子・揚げエシャロット・白ごまを合わせ、ごま油と果実酢・ライム果汁・塩・砂糖で和えます(参考)。酸味・塩気・甘み・うまみのバランスがよく、1978年出版の料理書『Cook and Entertain the Burmese Way』(著:Mi Mi Khaing)にも収録された、長く愛されてきたレシピです。食べる直前に和えるのが現地流で、時間を置くと水が出てしまうので注意してください。
2. タクワーティー・チェッウー・ムウェーチョー(သခွားသီး ကြက်ဥမွှေကြော်)― きゅうりと卵の炒め物
きゅうりを縦半分に切って種をくり抜き、薄切りにして卵と炒める家庭料理です(参考)。「生で食べるもの」というイメージを覆す、ミャンマーならではの食べ方です。火を通すことで食感が柔らかくなり、ご飯のおかずとしてするっと食べられます。
3. ウェッガウン・トゥッのきゅうり使い
豚のゆで頭肉のサラダ「Wet-Gaung Thoke」では、ヤンゴン流はきゅうりをベースに使い、マンダレー流は玉ねぎをベースにします(参考)。同じ料理でも都市によってきゅうりの有無が変わる、おもしろい地域差です。
日本での入手方法
東南アジア系の太いきゅうり(うり)を探すなら、東京では新大久保付近の生鮮が販売していることがあります。ミャンマー現地品種の入手は難しいですが、日本のきゅうりで十分代用できます。
まとめ
きゅうりはミャンマー料理において「涼を取る食材」として体系的に位置づけられていて、ただの付け合わせ以上の意味を持っています。タクワーティー・トゥッひとつ取っても、果実酢・ごま油・ライムの重なりがカレーの重さをうまく受け止める構造になっているのが面白いところです。「きゅうりってこんなに使えるの?」と思ったら、ぜひ一度ミャンマー式サラダとしてカレーの横に添えてみてください。
きゅうりを使ったスープのレシピはこちらです。ぜひトライしてみてくださいね。



