ミャンマーの市場に行くと、赤や橙色の小さな実が山盛りになった屋台をよく見かけます。それがジィーディー(ဇီးသီး)、日本で言うナツメ(インドナツメ)です。日本では漢方薬や中華食材のイメージが強いナツメですが、ミャンマーでは子どもも大人も大好きな、ごくふつうのおやつフルーツ。「帰り道にちょっとつまむ」感覚で食べられる、庶民に愛された果物なのです。

基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日本語名 | ナツメ(棗)、インドナツメ |
| ビルマ語名 | ジィーディー |
| ビルマ語表記 | ဇီးသီး(ဆီးသီးとも表記) |
| 英語名 | Jujube、Indian Jujube |
| 発音のポイント | 「ジィー」は少し引き延ばすように発音します。「ジー実」と覚えると親しみやすいかも |
| 科・分類 | クロウメモドキ科ナツメ属(学名:Ziziphus mauritiana) |
産地・特徴
ミャンマーで流通しているのは、インドナツメ(Ziziphus mauritiana)という熱帯性の品種です。中国産の乾燥ナツメ(赤棗)とは別物で、生のまま食べることを前提に栽培されています。実は直径2〜3cm程度の球形〜楕円形で、熟す前は緑色、熟すと橙色〜赤褐色に変わります。果肉はシャキシャキとしたリンゴに似た歯ごたえで、甘みの中にほのかな酸味があります。日本の「ナツメ」と同じ仲間ですが、ミャンマーのものは実が大きく、生食向けに栽培されているため、食感も甘さもずっとフレッシュです。
ミャンマーでの食べ方
1. そのまま生食(おやつとして)
一番シンプルで、一番ポピュラーな食べ方です。市場でビニール袋に詰めて売られており、子どもも大人も歩き食いしながら楽しみます。熟して赤くなったものは甘みが強く、緑色のうちはシャキシャキとした歯ごたえが楽しめます。
2. ジィーディーチェッ(ဇီးသီးချက်)— 甘辛スナック和え
ミャンマーでよく見られる屋台スナックスタイル。ナツメを唐辛子・砂糖・塩・タマリンドで甘辛酸っぱく和えたものです。酸味・甘み・辛み・塩気が一口でまとめてやってくる複雑な味わいで、これがとにかくクセになります。ミャンマーの人々が大好きな「チン・ンガン・サッ(酸っぱい・塩辛い・辛い)」の味覚が凝縮されたひと皿です。
3. ジィーヨー(ဇီးယို)— ナツメペースト・ジャム
熟したナツメを砂糖・塩とともに煮詰めたジャム・ペースト。そのまま食べたり、パンに添えたりと、家庭でも作られる保存食です。
日本での入手方法
東京の高田馬場周辺にあるミャンマー食材店では、乾燥ナツメや加工品が手に入ることがあります。また、新大久保や池袋のアジア系スーパーでも、中華食材コーナーで乾燥ナツメが販売されています。ただし生のインドナツメはほとんど流通しておらず、入手は難しいのが現状です。
まとめ
ナツメと聞くと漢方か薬膳のイメージが先行しがちですが、ミャンマーでは「市場でつまむ、日常のフルーツ」。タマリンドと唐辛子で和えた甘辛スナックスタイルは、ミャンマーの食文化のツボを突いた一品だと思います。日本では生のインドナツメに出会う機会は少ないですが、東京のミャンマー系イベントやマーケットで見かけたときはぜひ手に取ってみてください。あの市場の賑やかさが、少しだけよみがえるはずです。


