実はなす、ミャンマーが原産地に近い野菜なんです。なすの栽培化がどこで始まったかは学術的にまだ議論が続いていますが、インド・中国南部・東南アジアのいずれか、あるいは複数地域で独立して栽培化されたとする説が有力です(参考)。野生種の分布域として「インド北東部からビルマ・タイ北部・ラオス・中国南西部にかけた地帯」が挙げられており(参考)、ミャンマーはその中心エリアに位置しています。そんな土地では、なすは日常の食卓に欠かせない存在。長細いタイプから丸みのある品種まで、市場にはさまざまな形のなすが並んでいます。今回ご紹介するのは、そのなかでも丸なすのクラムチョッティー(kcrum kyut thee)です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日本語名 | 丸なす |
| ビルマ語名 | クラムチョッティー |
| ビルマ語表記 | ခရမ်းကြွပ်သီး |
| 英語名 | Round Eggplant / Brinjal |
| 発音のポイント | 「クラム・チョッ・ティー」と3音節。kcrum がなす全般を指し、「ティー」は「実」の意味 |
| 科・分類 | ナス科ナス属 |
産地・特徴
ミャンマーのなすは品種が豊富で、長なす・丸なす・小粒の緑色品種など、地域や季節によってさまざまな種類が出回ります。ビルマ料理の食養の考え方では、なすはきゅうりや大根と同じ「冷やす食材(cooling food)」に分類されています(参考)。熱い気候のなかで体の熱を鎮めてくれる食材として重宝されており、丸なすは皮が薄く、火を通したときのとろっとした食感が特徴です。
ミャンマーでの食べ方
1. そのままかじる ― ンガピイェーと一緒に
ミャンマーの食卓の定番は、発酵えびペーストを溶かしたたれ「ンガピイェー(ငါးပိရည်)」に生野菜をつけて食べるスタイルです。丸なすもそのひとつで、切り分けてそのままかじります。加熱なしで素材の味をそのまま楽しむ、シンプルな食べ方です。
2. 野菜スープに入れる ― シャン州の食卓から
中国・タイ・インドと国境を接する山岳地帯、シャン州でも丸なすはよく食べられています。他の野菜と一緒に煮込んだシンプルなスープに入れるのが定番の使い方で、とろりとした食感がスープによくなじみます。素材の味を生かしたやさしい仕上がりが、シャン料理らしさのひとつです。
日本での入手方法
丸なすは日本のスーパーや八百屋で購入できますが、ミャンマーで食べられているこの小さいななすはアジア系スーパーでは小粒の丸なす(タイなす)でないと手に入りません。少し高めなのが残念なところ。
まとめ
なすの栽培化の歴史と深いつながりを持つミャンマー。そこでは、生のままかじる・スープに入れるといった、なすの素の味を生かしたシンプルな食べ方が今も続いています。日本でもおなじみの丸なすですが、ンガピイェーにつけてそのまま食べてみると、ミャンマーの食卓がぐっと身近に感じられますよ。


