空芯菜とよく似た顔をしていながら、実はサツマイモの葉――。市場でこの野菜を見分けるポイントは、ぽってりとしたハート型の葉と、根元に向かうにつれて赤紫色を帯びた茎です。空芯菜の葉が細長い矢じり型をしているのに対し、こちらはまるくふっくらしていて、一目で違いがわかります。ミャンマーでは「カズンウーユェ」と呼ばれ、市場では赤い茎の見た目から「カズン・ヨーニー」という通称でも親しまれています。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日本語名 | サツマイモの葉(サツマイモの茎葉) |
| ビルマ語名 | カズン・ウー・ユェ |
| ビルマ語 | ကန်စွန်းဥရွက် |
| 市場での通称 | カズン・ヨーニー(ကန်စွန်းရိုးနီ/赤い茎のカズン) |
| 英語名 | Sweet potato leaves / Sweet potato greens |
| 発音のポイント | 「ကန်စွန်းဥ(カズン・ウー)」がサツマイモ、「ရွက်(ユェ)」が葉。ウーの部分を短く、はっきりと |
| 科・分類 | ヒルガオ科サツマイモ属(学名:Ipomoea batatas) |
産地・特徴
ミャンマーでサツマイモの栽培が盛んな地域として知られているのが、シャン州北部のチョーメ(Kyaukme)周辺です。山岳地帯の高原性気候がサツマイモの生育に適しており、ここで収穫されたサツマイモはマンダレーを経由してヤンゴンへと流通します。サツマイモを栽培すれば葉も収穫できるため、シャン州をはじめとした高地の地域では、葉も食卓に上がる機会が多い野菜です。
日本では「芋づるの煮物」として一部地域で食べられていますが、茎ごと長時間煮込む文化が主流です。一方、東南アジアでは葉と若い茎を手早く調理するスタイルが一般的で、食感の柔らかさが際立ちます。空芯菜と同じヒルガオ科の植物なので調理の方向性は近いのですが、大きな違いは加熱したときの粘り気です。モロヘイヤのようなとろみが出るのがカズン・ウー・ヤエの最大の特徴で、この食感を楽しむのが現地流の味わい方といえます。
ミャンマーでの食べ方
ミャンマー語のレシピや料理記事を調べると、空芯菜(ကန်စွန်းရွက်)のレシピは豊富に見つかるのに対して、サツマイモの葉(ကန်စွန်းဥရွက်)を主役にした料理名は、ネット上ではまだあまり記録されていません。おそらく農村部や高地の家庭料理として親しまれてきた野菜で、市場の口伝や家庭の知恵として受け継がれてきたためではないかと、ラペ子は想像しています。
1. にんにく炒め
空芯菜と同様に、にんにくと唐辛子を使った強火の炒め物が基本的な食べ方です。葉と若い茎をざっくり切り、高火力でさっと炒めると、あの独特のとろみが全体にからみます。空芯菜の炒め物の作り方がそのまま応用できます。ンガピ(発酵えびペースト)を少量加えると、ミャンマーらしい深みのある風味になります
2. スープ
さっと茹でてスープに加える使い方も自然です。葉がとろりと柔らかくなり、汁にとろみが移って優しい口当たりになります。ベトナムでは干しえびと一緒にスープにするレシピが定番で、ミャンマーでも同様の食べ方が行われている可能性が高いと考えられます。
まとめ
空芯菜の影に隠れがちですが、サツマイモの葉はミャンマーの農村・高地で昔から食べられてきた野菜です。
日本でサツマイモを育てたら、ぜひ葉も収穫してにんにく炒めにしてみてください。研究者として、まだデジタル記録の少ないこの野菜の使われ方を、これからも丁寧に掘り起こしていきたいと思っています。


