ミャンマー料理の魅力にハマった方なら、きっと一度は出会うのが「ラペソー」そして「ラペットウッ」ではないでしょうか。
ミャンマーには「お茶を食べる」という、ユニークで奥深い食文化があります。
この記事では、ミャンマーを代表する発酵茶葉「ラペソー」の基本、食べ方、ラペットウッとの違い、日本で買える市販ラペソーの食べ比べまで紹介します。
プチコラム:主流のカタカナ発音「ラペットゥ?」、それとも「ラペットウッ?」
日本では「ラペットゥ」と書かれることが多いこの料理ですが、ミャンマー語の先生によると、最後の音は「トゥ」と伸ばすより、小さい「ッ」で息を止める感じの「ラペットウッ(Laphet Thoke / လက်ဖက်သုပ်)」と発音するのがより現地に近いそうです。
この記事では、できるだけ現地の発音に近い「ラペットウッ」という表記を使っていきたいと思います。ただし、「ラペットゥ」で検索する方も多いので、たまに表記が出てきても驚かないでください。
ラペソーの歴史:古代から続く「食べるお茶」と文化
ミャンマーで「お茶を食べる」習慣は、文字記録が残る前の有史以前の古代にまで遡ると考えられており、お茶が古くから王族や特定の民族と深く関わっています。
また、18世紀後半には、お茶(ラペソー)はビルマの重要な輸出品となっていた記録もあり、経済的な価値も高かったことがうかがえます。
ラペソーは単なる食べ物以上の、ミャンマー文化における特別な意味を持っています。おもてなしの心や、和解の象徴、結婚の成立を示す贈り物としても用いられていたようです。
今でもさまざまな目的で摂取されているラペソーは、ミャンマーの人々を結びつける国民的な珍味であり、コミュニケーションツールでもあります。
「ラペソー」ってどんな意味?ミャンマー語で知る「食べるお茶」と「飲むお茶」
ミャンマー料理のユニークな食材「ラペソー」。その名前の意味を知ると、ミャンマーのお茶文化がもっと奥深く感じられるようになります。
ミャンマー語(ビルマ語)では「ラペッ(Laphet / လက်ဖက်)」が「お茶(主に茶葉)」を意味します。興味深いのは、この言葉に続く形容詞によって用途が明確に区別されることです。
ラペッ・ソー(Laphet So / လက်ဖက်စို) の「ソー」は「湿った、濡れた」という意味。つまり「ラペソー」は文字通り「湿ったお茶」を指します。これが、サラダとして食べる発酵茶葉のことです。
一方、ラペッ・チャウッ(Laphet Chauk / လက်ဖက်ခြောက်) の「チャウッ」は「乾いた」という意味。「ラペッチャウッ」は「乾いたお茶」、つまり日本と同様にお湯を注いで飲むための乾燥茶葉を指します。
このように、ミャンマーでは茶葉が「湿っているか(食べるため)」「乾いているか(飲むため)」で、はっきりと呼び分けられています。
ラペットウッ(お茶の葉サラダ)の魅力と基本
このラペソーを使った最もポピュラーな料理が、ミャンマー料理の代表格「ラペットウッ」です。
もともとは混ぜないで提供されていたラペソーですが、現代になるにつれ、さまざまな飲食スタイルが根付き、今ではラペットウッ(茶葉和え、お茶の葉サラダ)形式の料理で提供されることが多くなってきました。

ラペットウッの醍醐味は、たくさんの具材が織りなす複雑な味と食感です。主役はラペソー(発酵茶葉)。そこに、ひよこ豆、バタービーン、そら豆などのカリカリした揚げ豆、野菜、調味料が加わります。
具材の比率や味つけは、お店や家庭によってそれぞれ異なります。まさに、家庭や店ごとの個性が出る料理です。
ラペソーを使ったレシピ
ラペソーが手に入ったら、お家で「ラペットウッ」(お茶の葉サラダ)作りにもチャレンジしてみましょう。
日本で楽しむ!市販ラペソー食べ比べレポート
「ラペットウッを家で食べてみたい!」と思っても、日本ではラペソー自体がまだ珍しいですよね。でも、東京の新大久保や高田馬場などのミャンマー食材店や、オンラインショップなどで、袋詰めや瓶詰めのラペソーが手に入るようになってきました。
ただ、メーカーによって味や特徴がかなり違います。ここでは、実際に試してみた市販のラペソーブランドを紹介します。ラペソー選びの参考にしてください。
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とにかくラペソーといえば、これを見た人が一番多いかもしれません。発酵茶葉のオイル漬けと干しエビ、フライドビーンズがセットになっているので、これを混ぜたらすぐにラペットウッが完成します。
家でラペットウッを食べてみたい人にはおすすめです。袋の上がオレンジなのがスパイシー、緑なのがノーマルな味です。
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これを食べてしまうと、他のラペソーが食べられないかもと思うくらい美味しいのですが、とにかく辛いです。
このラペソーだけで食べるのは難しいので、他のラペソーと混ぜても良いくらいです。でも、この辛さにやみつきになるミャンマー人も多いのだとか。賞味期限も長く、容量もしっかり入っています。
MSG(合成化学調味料)は使われています。
AH YEE TAUNG

こちらは、ラペソーメーカーの老舗中の老舗とも言える「A-Yee-Taung」。大学の論文を拝見したところ、ラペソーの主要流通を担うマンダレーで、味付けやオイル漬けにして商品として流通させたメーカーなのだとか。
写真は、ラペソーとフライドビーンズがセットになった小さなタイプ。こちらのメーカーは茶葉がペースト状になっているほか、スターフルーツが材料に使われているため酸味があって美味しく、私のお気に入りです。
茶葉のみのラペソーは紫の袋に入っています。このメーカーもスパイシーとそうでないものがあるので、購入の際は注意してください。
U KAR KA

ミャンマーの大手茶葉メーカー「U Kar Ka」のラペソー。大きめの茶葉で、オイル漬けにしていないのが特徴的です。

マンダレーに工場があるU Kar Kaは、日本から工場の機械を導入しているそうです。真空パックなので保存期間も長いです。ミャンマー人でもこだわりがある人はこちらのメーカーを買うそうです。
SHAN SHWE TAUNG

こちらは、若干ファンキーなデザインが注目のブランド「Shan Shwe Taung」。ラペソー以外にもミャンマーふりかけ(バラチャウン)なども手がけています。
このブランドもよくミャンマー人が買って行くということだったので、試しにジンジャーをプラスしたこちらをチョイスしました。
ペースト状のラペソーのオイル漬け仕様。ジンジャーの爽やかな酸味もプラスされていますが、辛いです。スパイシーシリーズでないのに辛いので、辛いのが苦手な人はびっくりするかもしれません。MSG入りです。
PALINE

ラペソーにオーガニック製品がないか探して見つけたのが、こちらのラペソー。スパイシーさはありませんが、ゴマが入っています。
PIN PYO YWET NU

坊やマークでおなじみのブランド「Pin Pyo Ywet Nu」。紹介する写真のラペソーは、味付けがされていないタイプのものです。
ミャンマー食材店で、できるだけ味付けがされていない、そのままのラペソーを食べてみたいとリクエストし、出てきたものがこちらでした。
オイルも、味付けもされていない状態。この素の状態から、各家庭や料理店ならではの秘伝の味付けがされるのだそうです。そのままのお味はというと、「苦い」。
このまま食べる人はほとんどおらず、日本の茶葉同様に洗って絞り、苦味を取り除いた後、保存がきくように油などにつけておくのだそうです。

SHWE PU ZUN

このパッケージのラペソーは、東京のミャンマー食材店巡りで初めて出会いました。容量も他のメーカーより若干多く、店員さんも「このブランドは美味しいよ」とレコメンドしてくれたので早速購入。
袋に入ったオイル漬けラペソーです。オールミャンマー語だったので味は不安でしたが、食べてみると確かに美味しい。スパイシーさも軽めなので、自分で唐辛子の量を調節できます。
ちなみに、Shwe Pu Zun というブランドは、ヤンゴンで人気のケーキショップのブランド。店舗は連日大混雑の、1978年に開業した老舗とのこと。美味しいはずですね。
YUZANA

ラペソーブランド「Yuzana」は、ミャンマーでもとても有名です。ヤンゴンにはYUZANA TOWERというオフィスビルやホテルがあるほどの老舗食品会社です。
YUZANAにも可愛らしい坊やのアイコンがあります。パッケージがPOPすぎてなかなか手が出なかったのですが、少し量が欲しかったのでこちらの大容量サイズを購入しました。
最後までスパイシーにするか、普通味にするか悩みましたが、結局は普通味を選びました。オイル少なめの仕様でしたが、唐辛子がない分ラペソーの味がダイレクトに伝わります。とはいえ、スパイシー好きの人には普通味のタイプは物足りないかもしれません。MSG入りです。
まとめ:ラペソー&ラペットウッを、もっと楽しもう!
ミャンマー独自の「食べるお茶」ラペソーと、それを使ったラペットウッの世界、その入口を少しだけご紹介しました。歴史や文化を知ると、その一皿がもっと味わい深く感じられます。
市販品もいろいろあって、選ぶのもまた楽しいものです。ぜひお気に入りのラペソーを見つけて、ご家庭でもラペットウッ作りを楽しんでみてください。
「ラペソーの詳しい発酵の秘密は?」「家庭で失敗しない本格的なラペットウッの黄金比は?」「もっとマニアックな種類や歴史、現地の食べ方を知りたい!」という方は、料理教室やワークショップでお会いしましょう。
