ミャンマーカレー「ヒン」とは?多様な煮込み料理の世界
ミャンマーの食卓に欠かせない煮込み料理「ヒン」。一般的に「ミャンマーカレー」とも呼ばれますが、地域・民族で食されるヒンは驚くほど多様です。
料理研究をしている中で日本にも馴染みがある「カレー」について、ミャンマー全土に広がるヒンの多様性と、「ビルマカレー」スタイルのヒンに焦点を当て、その際立った特徴を詳しく解説します。
この記事が、豊かなミャンマー料理の世界への扉を開き、さらに深く学びたいと感じるきっかけになると嬉しいです。

一括りにはできない!ミャンマー全土カレー=「ヒン」の多様性
ミャンマーは135もの民族が暮らす国。食文化も地域や民族ごとに色鮮やかな個性を持っています。
「ヒン」も例外ではなく、使う食材、スパイス、調理法は実に様々です。
例えば、海に近いラカイン州では魚介を使い、キリッとした辛味と酸味が特徴的なヒンが愛されています。
一方、ヤンゴンやマンダレーなどの大都市ではマサラが使われたインド寄りの風味が感じるカレーがあります。これらはほんの一例で、知れば知るほどミャンマー料理の広がりと奥行きに驚かされることでしょう。

ミャンマー民族カレー:ラカイン族のカニのカレー

ミャンマーカレー:典型的な鶏のマサラカレー「チェッターマサラヒン」
この記事では、これらの多様性を念頭に置きつつ、ミャンマー料理の「基本」とも言える、人口の多くを占めるビルマ族のスタイルのヒン、いわゆる「ビルマカレー」の特徴に迫ります。
主流を知る:「ビルマカレー」の際立つ特長
「ビルマカレー」には、他のアジアのカレーとは異なる、いくつかのユニークなポイントがあります。その核心を見ていきましょう。
特徴①:油の旨味と「スィービャン」- 調理法と役割
ビルマカレーを語る上で欠かせないのが、特徴的な油の使い方です。たっぷりの油で大量の玉ねぎを焦がさずに、じっくりと火を入れ、その甘みと旨味が油に十分に溶け出すまで時間をかけて処理します。これが、他の多くのカレーにはない、濃厚で滋味深い味わいの土台を築きます。

ビルマ料理:スィービャン(油戻し煮)
そして煮込みが進むと、油が素材の旨味と共に表面に分離して浮かび上がる「スィービャン(Sibyan)」が現れます。これは味が凝縮された美味しいヒンの証。この美しい「スィービャン」を安定して作り出すには、実は火加減や油の選び方にもちょっとしたコツがあります。
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特徴②:スパイスは「少数精鋭」で「調和」重視 – タイ料理とも違うアプローチ
ビルマカレーで基本となるスパイスは、ターメリック、唐辛子、ニンニク、生姜など。インドカレーのように多種多様なスパイスを複雑に重ねるというよりは、比較的少ない種類のスパイスで、主役となる食材の味を引き立て、全体のバランスを重視するのが特徴です。
また、タイ料理のようにハーブやスパイスを生で多用したり、ペーストにしてから強く炒めて香りを出すのとも異なり、油の中でスパイスと他の材料を穏やかに馴染ませていく調理法が、独特の優しい風味を生み出します。基本のスパイスはシンプルですが、その微妙なさじ加減や加えるタイミングで、驚くほど風味が変わるのがヒンの面白さ。
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豚肉と酸っぱい果実のカレー
特徴③:ココナッツミルクは使用しない
タイカレーでお馴染みのココナッツミルクですが、ビルマカレー(ビルマ族のヒン)では、日常的なヒンに使用されることはあまりありません。
ヒンのコクは、主にじっくり処理した玉ねぎや油、煮込まれた具材そのものから生まれます。ココナッツミルクを使わないからこその、ストレートな素材の旨味が感じられるのも魅力の一つです。

ミャンマーカレー:典型的な魚のカレー「ンガーヒン」
ビルマカレー(ヒン)の楽しみ方
ビルマカレーは、ミャンマーの主食であるご飯(タミン)と最高の相性です。ぜひ、たっぷりのご飯と共に、油と旨味が染み込んだソースごと混ぜながら味わってみてください。
ご家庭で簡単に作れる鶏とじゃがいものカレー「チェッターヒン」はこちらでご紹介しています。
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まとめ:「ビルマカレー」を知り、ミャンマー料理をもっと好きになる
ミャンマー全土に息づく多様な「ヒン」の世界。その中でも主流の「ビルマカレー」は、特徴的な油の使い方、調和を重んじるスパイス感、ココナッツミルクに頼らない旨味の引き出し方など、独自の魅力に溢れています。
この記事で、その基本的な特徴や魅力が少しでも伝わっていれば嬉しいです。もし、この多彩な「ヒン」の世界をさらに探求し、ご自身の手で自在に美味しいビルマカレーを作れるようになりたいと感じたら、ぜひ私の料理教室やワークショップを覗いてみてください。
一緒にミャンマー料理の楽しさを体験できることを楽しみにしています。

