ミャンマーは、実は麺料理がとても豊富な国です。
その中でも、中国・タイと隣接しているシャン州には、それぞれの国や民族文化の影響を受けながら独自に発展した麺料理があります。
このページでは、シャン州発祥の麺料理として知られる「シャンカウスエ」と「トーフヌェ」を中心に、ミャンマーやタイで食べた実例を交えながら紹介します。
このページの内容
- シャンカウスエとはどんな麺料理か
- ミャンマー・東京・タイで食べたシャンカウスエ
- トーフヌェとはどんな麺料理か
- ミャンマー・東京・タイで食べたトーフヌェ
- シャン州発祥の麺料理の面白さ
シャン州発祥の麺料理とは
ミャンマーは、裏で麺大国と言われるほど、実は麺料理が豊富な国です。
その中でも、中国・タイと隣接しているシャン州は、それぞれの国の影響を受けながら、独自の麺料理を確立してきた地域です。現在では、シャン州発祥とされる麺料理がミャンマー全土で親しまれています。
ここでは、代表的なシャン州発祥の麺料理として「シャンカウスエ」と「トーフヌェ」を紹介します。
シャンカウスエ(Shan Khao Swe)
シャン州発祥の、優しい味が人気の麺料理
シャンカウスエ(シャンカオスウェイ)は、シャン州発祥の麺料理です。
辛さも少なく食べやすいため、シャン族だけでなく、今ではミャンマー全土で食べられる人気料理になっています。
基本的には「サンズィ」と呼ばれる、シャン州特有の米粉で作られたもちもち麺が使われます。チキンまたは豚のグレービーを上にかけ、チキンスープを入れるタイプと、スープなしで和え麺のように食べるタイプがあります。スープなしを頼んだ場合は、スープが別で付いてくることが多いです。
シャン料理では定番の発酵高菜「モンニンチン」が付くことも多く、これを加えるだけで風味がぐっと増します。

ヤンゴンで食べたシャンカウスエ

ヤンゴンのシャンヌードルの名店屋台「ドーシャンレー」のシャンカウスエ。ご主人は、茶葉の産地で有名な「Zayan」地域出身のシャン族です。
スープありで注文。チキンスープそのものが美味しく、チキングレービーにはトマトを使うパターンでした。
東京で食べたシャンカウスエ

こちらは、北シャン州「ラシオ」ご出身のご夫婦が営む、曙橋「ゴールデンバガン」のシャンカウスエ。
スープありで注文。トマト感が強い印象で、トッピングに小ねぎと豆苗を使うところもシャンヌードルらしさを感じました。
シャン州で食べたシャンカウスエ

こちらは、タウンジー近くのインデインという村の五日市で食べたシャンカウスエ。スープは別添えタイプでした。
別添えタイプの方が、よりグレービーが麺に絡みやすい印象です。つなぎとして、ひよこ豆トーフが少し入っていました。ここのシャンカウスエは、トマトを使っているパターンでした。

こちらは、シャン州のインレー湖にあるニャウンシェのシャンヌードル屋さんで食べたシャンカウスエ。
たくさんあるメニューの中で、お店一押しだったのがこちらのシャンカウスエでした。スープありで注文。他のお店のようなグレービーが目立つタイプではなく、スープに溶け込んでいる印象です。白菜のような青菜が多いのも特徴でした。

こちらは、シャン州のトレッキングで有名な「カロー」の市場で食べたシャンカウスエ。この日は特に混雑していたのか、だいぶスモールポーションでした。
汁なしで注文。トマトは入っていないパターンでした。トマトが入っていないタイプのシャンカウスエは、黒くてやや甘いソイソースがかかっていて、八角の香りが強めなのが特徴的でした。
タイで食べたシャンカウスエ
シャン族は、タイでは「タイヤイ族」とも呼ばれています。
ミャンマーからタイに移民してきたタイヤイ族(シャン族)が、タイのチェンマイで営むミャンマー料理店でも、シャンカウスエを食べることができました。作り方や料理のベースは近いものの、地域柄や宗教、食材の違いから、ミャンマーで食べたシャンカウスエとは少し異なる点があったのが興味深いです。

ガーリックオイルなどの効かせ方を含めて、これぞミャンマーのシャンカウスエといった味。豚を多く調理するチェンマイだからか、このシャンカウスエは豚ミンチを使っていました。
トマトも煮込みすぎない感じの作られ方で、ミャンマーで食べたものと少し異なる特徴がありました。

続いては、バンコクで食べたシャンカウスエ。パオ族のお店で出てきたシャンカウスエは、骨付き鶏がごろっと入った仕様でした。
このお店も、サンズィのもちもち麺仕様でした。

最後に、チェンマイの有名な金曜日の朝市、雲南ムスリム朝市のフードコートで食べた雲南料理屋さんのシャンカウスエ。
シャンカウスエといえば通じました。麺は米線(ミシェ)を選びましたが、基本のデフォルトスタイルは、やはりもちもちの麺でした。
雲南系の料理だからなのか、グレービーの効かせ方や油使いはミャンマーと異なり、トッピングにパクチーもありません。クリアなスープが非常に滋味深く美味しかったです。
このように、シャンカウスエは隣国にも類似した麺料理として存在していますが、やはり地域色、民族色が少しずつ異なります。そして、どの地域でも根付いている料理であることがうかがえます。
トーフヌェ(Tofu Nway)
シャン州発祥の、とろとろがやみつきになる麺料理
トーフヌェは、シャン州発祥の麺料理です。
「トーフ」とは、日本でいう大豆から作られた豆腐ではなく、ひよこ豆から作られる豆腐を指します。ミャンマーでもこれを「トーフ」と発音するところが、とても面白いところです。
固まる前のとろとろのトーフを、麺にかけて食べる料理が「トーフヌェ」と呼ばれています。
トーフヌェで使われる麺は、シャンカウスエと同じく「サンズィ」と呼ばれる、シャン州特有の米粉で作られたもちもち麺です。そこに、とろとろのトーフ、チキンまたは豚のグレービーをかけて提供されます。
上に乗っているトッピングは、シャン州ならではの発酵高菜「モンニンチン」や、揚げたトーフなど。甘いタレは「チャーニョー」と呼ばれますが、美味しいトーフヌェであれば、甘いタレなしで頼むとトーフ本来の味が楽しめます。
シャン州でトーフヌェを提供しているお店は、豆からトーフを作るところから始めるため、どうしても専門店になりがちです。だからこそ、美味しいのだと思います。
東京で食べたトーフヌェ

こちらは、東京・高田馬場「ミャミンモ」で食べたランチセットのトーフそば。インスタでこの姿を見て、一人で雑居ビルの2階に行ったのが、ミャンマー料理にハマった最初だったかもしれません。

武蔵小杉にあるミャンマー料理店「アジアン居酒屋ラシオ」での特別メニューで出してもらったトーフヌェ。作りたてのトーフのテクスチャーとフレーバーが印象的で、自分でもトーフヌェを作ってみようと思い立ったのを覚えています。
通常メニューにはないため、事前コース予約で希望を伝えたら、もしかしたら作ってくれるかもしれません。
ヤンゴンで食べたトーフヌェ

こちらは、ヤンゴンの名シャンヌードル屋台「ドーシャンレー」で食べたトーフヌェ。
絶品というだけあって、とろっとろのトーフに、秘伝のスパイスオイルが食欲をそそります。トーフそのものが美味しいので、チャーニョーと呼ばれる甘いタレなしで食べるのがおすすめです。
シャン州で食べたトーフヌェ

南シャン州のインカウンの五日市の屋台で食べたトーフヌェ。雰囲気も含めて、私史上かなり印象に残っている美味しいお店でした。
トーフ専門店だけあって、トーフも作りたてでとろっとろ。一緒に食べたトーフジョー(揚げトーフ)も揚げたてでもちもちでした。

インレー湖から船で1時間半。閉まりかけの市場にギリギリ滑り込んで食べたトーフヌェです。一瞬見た目は美味しそうですが、時間がやや経過しているせいか、トーフがところどころ固まっていました。それでも美味しいトーフヌェでした。

今まで食べたトーフヌェとは少し違った見た目で登場したトーフヌェ。トロトロ感はやや低め、鶏肉グレービーはトマトなしで、甘いタレのチャーニョーは少し。甘めが苦手な私にはちょうどよかったです。
タイで食べたトーフヌェ
シャンカウスエと同じく、ミャンマーからタイに移民してきたタイヤイ族(シャン族)が、タイのチェンマイで営むミャンマー料理店でもトーフヌェを食べることができました。
こちらも、少しずつ仕様が異なっていて興味深い結果となりました。

トーフは固まりやすい性質があるため、午後に伺った際はすでに若干固くなっていましたが、味はやはり美味しい。ミャンマーのトーフヌェに近い味わいでした。店主はミャンマーの北シャン、ラシオ出身とのことでした。

このお店は、雲南ムスリム(回族)と思われる女性が販売していました。定常的にある屋台で、非常に人気とのこと。
麺はデフォルトが小麦麺(カウスエ)ですが、選べる仕様でした。おまけに、固まったトーフもいただきました。ツヤもよく、人気店というのがうかがえます。
とろみはあるものの、ミャンマーで食べるトーフより豆の味が薄く、おそらく別の粉もブレンドして作られたグレービーのような気がしました。


豆の味もして、出来立ての味が楽しめる、とても美味しいトーフヌェでした。雲南省では「シードーフ」と呼ばれているそうです。
トーフヌェは、雲南省から渡ってミャンマーのシャン州で根付いたと言われています。こちらのお店では、チャーニョーと呼ばれる甘醤油も控えめで、とても美味しかったです。
ミャンマーのトーフヌェとの違いは、上に乗せるトッピングの量が少なかったり、調味油をそこまでかけなかったりするところだと思います。
まとめ:シャン州発祥の麺料理はやっぱり美味しい
以上、私も大好きなシャン州発祥の麺料理をご紹介しました。
シャンカウスエもトーフヌェも、シャン州を起点にしながら、ヤンゴン、東京、タイ、雲南系の食文化の中で、少しずつ違った形で根付いているのがとても面白いところです。
そして、やっぱりミャンマーのシャンカウスエとトーフヌェは美味しいのです。
