Noodles originated in Shan State

ミャンマーシャン州発祥の麺料理

ミャンマーは裏で麺大国と言われるほど、実は麺料理が豊富な国。

その中でも中国・タイと隣接しているシャン州は、それぞれの国の影響を与え影響を受けて独自の麺料理が確立しており、ミャンマー全土で人気になっているそう。
このページでは、シャン州発祥の麺料理と言われるものをまとめてみました。

(モヒンガーについてのまとめはこちら→)

【1】シャンカウスエ(shan kauswe・shan Khao Swe)

シャン州発祥の、優しい味が人気の麺料理

シャンカウスエ(シャンカオスウェイ)は、シャン州発祥の麺料理。
辛さもなく、食べやすいためシャン族だけでなく今やミャンマー全土で食べられる人気っぷり。

基本的に「サンズィ」と呼ばれるシャン州特有のうるち米の粉でつくられたもちもち麺が使われている。
チキンもしくは豚のグレービーが上にかかっていて、チキンでだしをとったスープを入れるパターンと、スープなしでたべるパターンがある。スープなしを頼んだ場合は、スープが別途ついてくる。

シャン料理では定番の発酵高菜(モンニンチン)がたいていついてくる。これを入れるだけで風味は倍増!

シャンヌードルの付け合わせの「モンニンチン」
シャンヌードルの付け合わせの「モンニンチン」

 

ドンシャーレーのシャンカウスエ
ドンシャーレーのシャンカウスエ

ヤンゴンのシャンヌードルの名店屋台「ドーシャンレー」のシャンカウスエ。ご主人は茶葉の産地で有名な「zayan」地域出身のシャン族。スープありで注文。チキンスープそのものが美味しい。チキングレービーにはトマトを使うパターン。

 

ゴールデンバガン のシャンカウスエランチ(850円)
ゴールデンバガン のシャンカウスエランチ(850円)

こちらは、北シャン州「ラシオ」ご出身のご夫婦が営んでいる曙橋「ゴールデンバガン」のシャンカウスエ。
スープありで注文。トマト感は強い印象。トッピングに小ねぎと豆苗を使うところもシャンヌードルならでは。

 


 

タウンジー近くのインデインの市場で食べたシャンカウスエ
タウンジー近くのインデインの市場で食べたシャンカウスエ

このシャンカウスエは、昔ながらの茅葺き屋根が残っているタウンジー近くのインデインという村の五日市で食べたシャンカウスエ。スープは別添えタイプ。別添えタイプの方が、よりグレービーが絡みやすい。
つなぎとしてひよこ豆トーフ が少し入っている。ここのシャンカウスエはトマトは使っているパターン


インレー湖ニャウンシェ で食べたシャンカウスエ
インレー湖ニャウンシェ で食べたシャンカウスエ

こちらは、シャン州のインレー湖にあるニャウンシェ のシャンヌードル屋さんで食べたシャンカウスエ。
たくさんあるメニューの中、お店一押しだったのがこちらのシャンカウスエ。
スープありで注文。他のお店のようなグレービーが入っておらず、スープに溶け込んでいる。白菜のような青菜が多いのが特徴。トマトは入っていない。どうして入れていないのか、女将さんに聞いてみると「私、入れるの好きじゃないから」とのこと。

 


カローで食べたシャンカウスエ
カローで食べたシャンカウスエ

 

こちらは、シャン州のトレッキングで有名な「カロー」の市場で食べたシャンカウスエ。この日は特に混雑していたのか、だいぶスモールポーション。汁なしで注文、トマトは入っていないパターン。
トマトが入っていないパターンのシャンカウスエは、黒くてやや甘いソイソースがかかっているのと、八角の香りが強めなのが特徴的。ということで、ここの作り手は中華系であることがうかがえます。

 


シャン族は、タイでは「タイヤイ族」とも言われている。

ということで、ミャンマーからタイに移民してきたタイヤイ族(シャン族)がタイのチェンマイで営むミャミャンマー料理店で食べたトーフヌェもご紹介。作り方や料理のベースはほぼ一緒と私は捉えているが、ご地域柄、宗教柄などもあるせいか、少しだけミャンマーで食べたシャンカウスエとは異なる点があったのが興味深い。

 


 

チェンマイのタイヤイ族(シャン族)の料理店で食べたシャンカウスエ
チェンマイのタイヤイ族(シャン族)の料理店で食べたシャンカウスエ

ガーリックオイルなどの効かせ方含めて、これぞミャンマーのシャンカウスエ!といったお味。
豚を多く調理するチェンマイだからか、このシャンカウスエは豚ミンチを使っていた。

トマトも煮込みすぎない感じの作られ方なのはまたミャンマーと少しだけ異なる特徴。

 


 

バンコクのパオ族のお店のシャンカウスエ。骨付き鶏が五、六と入っている仕様
バンコクのパオ族のお店のシャンカウスエ。骨付き鶏仕様

続いてはバンコクで食べたシャンカウスエ。パオ族はあまりグレービーのような料理を作ることが少なく、その影響からか出てきたシャンカウスエも骨付き鶏がごろっと入った仕様。

ふしぎと一つだけ牛の味がする肉があったのだが、間違えて紛れ込んでしまったものだったのだろうか。とにかく美味しい。もちろんこのお店もサンズィのもちもち麺仕様。

最後に、チェンマイの有名な金曜日の朝だけ開催する雲南ムスリム朝市のフードコートで食べた雲南料理屋さんのシャンカウスエ。

シャンカウスエといえば通じた。
麺は米線(ミシェ)を選んだけれど、基本のデフォルトスタイルはやはりもちもちの麺(中国ではアルスーという)

チェンマイの雲南ムスリム市場のフードコートで食べたシャンカウスエ
チェンマイの雲南ムスリム市場のフードコートで食べたシャンカウスエに限りなく近い料理

やはり、雲南人だからなのか、グレービーの効かせ方、油使いなどはやはりミャンマーと異なり、トッピングにパクチーもない。クリアなスープが非常に地味深く美味しい。ミンチ肉は豚を使用。

 

と、こんな風にシャンカウスエは、隣国で類似した麺料理として存在しているが、やはりどこかちょっとづつ地域色、民族色が異なり、その地域で根付いている料理であることが伺える。

 

そして、やっぱりミャンマーのシャンカウスエは美味い。


【2】トーフヌェ(Tofu Nway)

シャン州発祥のとろとろがやみつきの人気急上昇麺料理

トーフ ヌェは、シャン州発祥の麺料理。
トーフ とは、日本でいう大豆から作られた豆腐のことを指すのではなく、ひよこ豆(Chick Pea)から作られる豆腐をさします。そして、このひよこ豆豆腐とミャンマーでも「トーフ 」と発音するのがとても面白いところ。
固まる前のトーフ を、麺にかけて食べる料理が「トーフヌェ」と呼ばれています。

トーフヌェで使われる麺は、シャンカウスエと同じく「サンズィ」と呼ばれるシャン州現在のうるち米の粉でつくられたもちもちした麺。トロトロとしたトーフに、チキンもしくは豚のグレービーをかけて提供されます。

上に乗っているトッピングは、シャン州ならではの特産である発酵高菜(モンニンチン)や、トーフ を揚げたものが多く、甘いタレを「チャーニョー」と言いますが、美味しいトーフヌェであれば「なし」で頼むとトーフ本来の味が楽しめます。

シャン州でトーフヌェを提供しているお店は、豆からトーフ を作るところから始めるのでどうしても専門店になってしまう。だからこそ美味しいのです。

 

 

ミャミンモ(Mya Myint Mo)のトーフノェ
ミャミンモ(Mya Myint Mo)のトーフノェ

こちらは、東京の高田馬場「ミャミンモ」で食べたランチセットのトーフそば。インスタでこの姿を見て一人怪しげな雑居ビルの2階に行ったのがミャンマー料理にはまった最初だったかもしれません。。

 


 

ラシオ のスペシャリテ(トーフヌェ)の麺リフト
ラシオ のスペシャリテ(トーフヌェ)の麺

武蔵小杉にあるミャンマー料理店「アジアン居酒屋ラシオ」での特別メニューで出してもらったトーフヌェ。作りたてのトーフのテクスチャー、フレーバー共にここでトーフヌェを自分で作ろうと思い立ったのを覚えています。
ちなみに通常メニューにはなく、事前コース予約で希望を伝えたら、ひょっとしたら作ってくれるかもしれません。


 

ドーシャンレーのトーフヌエ
ドーシャンレーのトーフヌエ

こちらは、ヤンゴンの名シャンヌードル屋台「ドーシャンレー」で食べたトーフヌェ。ご主人はヤンゴンでも人気ヌードル店999で働いてから10年前くらいに独立したそう。夕方前にオープンしてなくなり次第終了、観光客もこのヌードル目当てに食べに来ている人も多いんだとか。
絶品というだけあってとろっとろのトーフに、秘伝のスパイスオイルが食欲をそそる。トーフそのものが美味しいので、チャーヨーと呼ばれる甘いタレなしで食べるのがオススメです。

 


 

シャン州のインカウンの市場で食べたトーフヌエ
シャン州のインカウンの市場で食べたトーフヌエ

 

南シャン州のインカウンの五日市の屋台で食べたトーフヌェ。雰囲気も含めて私史上1番の美味しいお店でした。トーフ専門店だけあって、トーフも作りたてでとろっとろ。一緒に食べたトーフジョー(トーフの揚げたもの)も揚げ立てでもちもち。1杯5000チャット(日本円で35円)程度でした。

 


 

インレー湖インデイン村の五日市で食べたトーフヌエ
インレー湖インデイン村の五日市で食べたトーフヌエ

 

インレー湖から船で1時間半。閉まりかけの市場にギリギリ滑り込んで食べたトーフヌエ。一瞬見た目は美味しそうですが、時間がやや経過しているせいか、トーフがところどころ固まっていました。それでも美味しいトーフヌエ。周りの親子もトーフヌエを食べてました。


 

ニャウンシェのヌードル店で食べたトーフヌェ
ニャウンシェのヌードル店で食べたトーフヌェ

今まで食べたトーフヌェとは少し違った見た目で登場したトーフヌェ。トロトロ感はやや低め、鶏肉グレービーはトマトなし甘いタレのチャーニョーは少し。甘めが嫌いななわたしにはちょうどよかったですが、トーフ自体はダマになっているので時間が経っているようですが、それでも美味しかったです。

 


 

 


シャンカウスエと同じく、ミャンマーからタイに移民してきたタイヤイ族(シャン族)がタイのチェンマイで営むミャミャンマー料理店で食べたトーフヌェもご紹介。

これまた、少しづつ仕様が異なり興味深い結果となった。

 

チェンマイのタイヤイ族(シャン族)の料理店で食べたトーフヌエ。(カオフン)
チェンマイのタイヤイ族(シャン族)の料理店で食べたトーフヌエ。(カオフン)

トーフは固まりやすい性質があるため午後に伺った際はすでに若干固くなっていたものの、味はやはり美味しい。ミャンマーのトーフヌエに近い味わいだった。店主はミャンマーの北シャンであるラシオ出身とのことだった。


 

チェンマイのムスリム街の人気オープン屋台で販売されてたトーフヌエ。(カオフン)
チェンマイのムスリム街の人気オープン屋台で販売されてたトーフヌエ。(カオフン)

このお店は、雲南ムスリム(回族)と思われる女性が販売していた。定常的にある屋台で非常に人気とのこと。
麺はデフォルトが小麦麺(カウスエ)だがチョイスできる仕様。私が食べた時はハーフアンドハーフという中途半端なオーダーをしてしまった。

おまけに、固まったトーフもいただいた。ツヤもよく人気店というのが伺える。

とろみもあるものの、ミャンマーで食べるトーフより豆の味が薄くおそらく別の粉もブレンドして作られたグレービーのような気がした。

 


最後に、チェンマイの有名な金曜日の朝だけ開催する雲南ムスリム朝市のフードコートで食べた雲南料理屋さんのトーフヌエ。

大きな鍋で火をつけてない状態で提供された。大きいので保温力が抜群なのだろう。ひっきりなしにトーフヌエの注文が入っていた。麺はもちもち麺の中国名アルスー。(サンズィ)

 

雲南ムスリム朝市の雲南料理店で食べたトーフヌエ(シードーフー)
雲南ムスリム朝市の雲南料理店で食べたトーフヌエ(シードーフー)

 

雲南ムスリム朝市の雲南料理店で食べたトーフヌエ(シードーフー)
はい、出来立ては美味しい!朝食べるのがベストだと痛感した

豆の味もして、出来立ての味が楽しめてとても美味しいトーフヌエ。雲南省ではシードーフと呼ばれている。実はトーフヌエは雲南省から渡ってミャンマーシャン州で根付いたと言われている。

こちらのお店ではチャーニョウと呼ばれる甘醤油も控えめでとてもおいしい。ミャンマーのトーフヌエとの違いは上に乗せるトッピングの量が少なかったり、調味油をかけるのがそこまでなかったというところだろうか。


そして、やっぱりトーフヌエは美味しいのだ。

 

以上、私も大好きなシャン州発祥の麺料理をご紹介しました。

ちなみに、シャンカウスエについてより詳しくご紹介している記事が

バダウ〜ミャンマーよもやま話のサイトにある「北部シャンのシャンカウスエ」記事。
ぜひチェックしてみてくださいね!