2019年末に体験したミャンマー料理研究の旅のメインイベントは「納豆作り」。 今回、ミャンマーに惚れ込んで現地の女性と結婚し住んでいる日本人男性のAさんを訪ね、トレッキングで有名なインレー湖にほど近い町「カローKALAW」へ。
日本でいう軽井沢的な町で、標高が高いことあり、リゾート地として観光客だけでなくヤンゴンからも訪れるような町。それでも少し離れると、昔の日本の田舎のような懐かしい風景が広がっていました。
訪ねたAさんの奥さんのご実家は、ミャンマーの中でも少数民族の「ダヌー族」。このカローの地で長年続く納豆作りを営んでいるそうで、その納豆作りを見学させてもらいました。
工場といっても、住宅街の中にある普通のお家と変わらない場所にあるのですが、何かプーンと香ばしいような、なんとも言えない香りが漂ってくる。 それもそのはず、角を曲がったらこんな、納豆の天日干しの風景が広がっていた!
木造でできた納豆工場の中で、作り方を現場を見せてもらいながら教えてもらいました。 作り方はとてもシンプルで。 (1)豆を茹でる (2)二晩ほど発酵させる→ここで形ある納豆は完成 ↓乾燥納豆はここから (3)豆を潰す (4)味付け・トッピングを混ぜて豆をせんべい状に成形する (5)二晩ほど天日干しすれば完成。
これは工場の中にある大きな納豆を茹でる鍋。炭火で茹でています。 少しだけ塩を入れると言っていました。
指でつぶれるくらいになるまで茹でてから、布をしいたカゴの中に、水分を切った茹でた大豆を入れる。そして、竃近くの暖かい場所へ二晩寝かせます。
かまどの温度と長年納豆作りをしていた部屋に住み着いている「蔵入り菌」で発酵するのだそう。昔はシダの葉などで包んでいたそうです。
市場でも見かけた日本のような納豆ですが、どちらかっといったら保存も効く乾燥タイプが主力商品のようで、さらに納豆作りの工程が進みます。
大豆をミンチにする機械で潰した後、人力で丸めて、木の板で叩いて潰します。
この柔らかい納豆をペタンコの丸い形にするのが職人技のようで簡単にはできないんだそう。 そして乾燥納豆にはプレーンのものもありますが、唐辛子やショウガ、ジュと呼ばれるニラのような野菜の根っこを入れて風味づけした乾燥納豆もあります。
網に乗っけて天日干しでじっくりパリパリになれば完成。 当たり前ですが、ミャンマーでも雨は降るので晴れた日は貴重。
だから、晴れたらここぞばかりに天日干しをします。面白いことに、時間がたてばたつほど納豆の色が濃くなり、風味も豊かになるそうです。
さて、このような美味しそうな納豆ですが、日本のようにご飯とシンプルに食べるというより、料理の調味料として利用される乾燥納豆。
奥さまのご一家はピンダヤーに自治州を持つ少数民族「ダヌー族」で、今回お願いして普段食べているダヌー族の納豆料理を教えてもらいました。
まずは、風味を良くするために、七輪の中に納豆をいれて焦げ目をつけます。 この焦げ目が乾燥納豆の風味が増すポイントのよう。トマトは真っ黒になるまで焼いてから周りの皮を剥くと、スモーキーな香りもついた美味しいソースができます。
タイ料理でもおなじみの石臼「クロックヒン」はミャンマーでも健在で、これがないとミャンマー料理は作れないんじゃないかと言うほど。 納豆や唐辛子、唐辛子などと叩いてから焼いたトマトも潰します。
こちらが、今回のメインディッシュ「ダヌータミンタウン」。タミン(Htamin)=ご飯、タウン(Taung)=すりつぶすという意味だそうで、このご飯は乾燥納豆を唐辛子・ハーブ類を叩いて、さらにご飯も石臼で叩いて作る料理。
ご飯を叩くというのは、日本人にとって新しい食べ方のようですが、きりたんぽもそうか!と思った次第。 このタウンする行為、一口たべれば納得です。
出来上がった乾燥納豆2品を使った料理がこちら!
どちらも生唐辛子とハーブ類を使っているので香味高く、炭火で焼いた香ばしさが相まって新しい美味しさに感動。 美味しい美味しいと言って食べていたら、奥さまの素敵な笑顔が。 そのほかにもたくさんのダヌー族料理を教えてもらいましたがどれも感動的に美味しかった!
憧れのミャンマーの納豆作りから、納豆料理作りまで本当に貴重な経験ができました。Aさん、奥さん本当にありがとうございます。
ちなみに、2023年4月23日に東京渋谷でまた乾燥納豆を使った間借りランチイベントを開催します。よろしければぜひ。リンク→
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